STAND!!

STAND!!(初回生産限定盤B)(DVD付)

STAND!!(初回生産限定盤B)(DVD付)

フラゲ日。CD買いに行く時はいつもヒヤヒヤする。SUPER!!の時はフルで聴くのはセーブしてた夜の中へが店内で思いっきりかかってたし。(その時はなぜだか奇跡的に回避出来たけど)店で大々的にかけて宣伝してくれるのはとても嬉しい、しかし今回は1曲目の1音目が聞こえたらアウトだなと思った。どれだけその瞬間を楽しみにしていたと思う……。「しまった、耳栓してくれば良かった」と思ったぐらい。幸い店では他のCDがずっとかかっていて、嬉しいような寂しいような。

生配信のないフラゲ日もいいもんだね。いつもは夜にゆるいか生配信があって、でもそれが始まる時間までにはもちろん聴けてなくて(&集中出来ないので聴かない)、とりあえずゆるいかを見て、音源部分は避け、なんやかややっているうちに落ち着いて聴けるのは深夜になる事が多かった。なので今回は生配信が発売日(フラゲ日翌日)で嬉しかったー。久しぶりに音だけに集中出来る。

ジャケットのデザインがLIFEと同じシリーズなので並べるとかわいい。新譜を買ったらまず歌詞カードを眺める。決めてる訳じゃないけどなんとなく毎回この流れ。そんなじっくりとじゃなくざーっと読んで聴く前に曲を想像する。STAND!!の歌詞を読んで、いつもはスルーッと流れていく事が多いのに、今回は割と引っかかるものがあって嬉しかった。FREEDOMと炎の舞の歌詞が特に好きだなと思った。言葉がより生身の山内くんに近い感じがして、「あれ?山内くんちょっと突き抜けたんじゃないか?」と思った。でも音を聴いたらそれどころの話じゃなかった。おめーーちょっとメタモりすぎだろ〜〜。

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1. FREEDOM(Words & Music: 山内総一郎

「ふーん静かにギターの音で始まるんだー」と思って身を潜めて聴き始めた。ちょっと身構えてたのかもしれない。そして山内くんの一声目を聴いて「!?!?」ってなる。な・・・歌、全然違・・・、アプローチ全然違・・・、とか思ってる間にリズムが始まって、そのあとは手を引かれて導かれるように連れていかれて、サビで天井がなくなってしまった。天国みたい。


FREEDOM、君はほんとにフジファブリック


ッッッッッ・・・・・・・
1曲聴き終えて、よろよろしながら一時停止。
な・・・これ・・・・

エレポップとか大好きだけど、こういう感じをフジファブリックが通過させてくるとは思わなかった。ちょっと洋楽っぽくもあり、好み、好み、激好み。曲が進むにつれて笑ってしまった。嬉しくて。ちょっと涙目にもなった。私のフジファブリック人生でこんな事が起こるなんて。

音が好き
メロディが好き
展開が好き
歌詞が好き
歌が好き

息吸い込むとこ好き。
ファルセットが気持ちいいーー

一声目でもう山内くんの勝ちじゃない?

何より、越えてくれた事がめちゃくちゃ嬉しかった。

さっきまで読んでた歌詞は、曲が始まった瞬間に散って、全然異なる形状になって音の中に溶けてった。文字が歌詞になる瞬間を目撃してしまった。

「アーモンドみたいな〜」って表現、山内くんだなー。
サビの「はじめからはじめて 君と眠れたのに」って歌詞、ほんっと好き。

インタビューで炎の舞を1曲目にという話もあったとか言ってたけど、絶対FREEDOMが1曲目、1曲目しか考えられない。それでこの盤が変わってたかもしれない。

FREEDOMもGreen Birdも録ってたスタジオ名から取ったものだけど、曲を象徴していてもうそれしかないっていうようなタイトル。Green Birdなんて歌詞に一度も出てこないのに。たまたまなはずなのに、呼ばれてたというか。運命なんだろうか。

この曲を一人一人がどんな顔して演るのか全然想像出来ない!山内くんが夜の野外で歌いたいって言ってたけど、見える、とっぷり暮れた時間帯、濃紺で真っ暗なだだっ広い空の下、白く眩しく輝くステージの上で気持ちよく歌う姿が見える・・・。誰か、フェス関係者の誰か、今年の夏はフジファブリックにそんな時間帯を・・・


そのあとの新曲5曲もずっとFREEDOM聴いた感動を引きずりながら聴いたから、全部輝いて聞こえた。笑 いえ、FREEDOM効果もあったけど実際テンションが高い立った曲ばかりだった。


2. SUPER!!(Words: 山内総一郎 / Music: 山内総一郎金澤ダイスケ

2016-11-16 - blog.

インタビュー読んだりライブで聴いたりしてちょっと印象が変わった。最近聞き込んでたばっかりだから、まだこのアルバムに入る事による変化は〜とかいうのはあまり感じてないかも。

シングル出てから何回かライブで見たけど、金澤君がギター弾いてるのはイレギュラーな形と思ってたけど、もしかしてマジでこの曲の時は金澤くんとWギターで弾こうと思ってる……?鍵盤なくてギターばっかりの曲もたまにあってもいいと思うので、ぜんぜん良いんですけど。


3. Green Bird(Words & Music: 山内総一郎百田留衣

FREEDOMとかアルバムの空気を含んで、聞こえ方がミニアルバムに入ってる時からちょっと変質した。入る場所によってこんな風に変わるなんて不思議。BOYSの時はもうちょっと青くて青年って感じだったけど、それよりもちょっと線が太くなって精悍に感じる。


4. 炎の舞(Words & Music: 山内総一郎

作詞作曲がまだわからない時このタイトル見て金澤くんかと思った。(Fireに引きずられすぎ?)

エレクトリック・シタールの音を堪能しまくり。この音好きだー。追っかけ合うキーボードとギターの音そのやりとりがたまらない。最後のチャンチャンって感じの収め方まで完璧すぎる。

これも歌い方に「!!!」ってなった。SUPER!!とはまた違う声の張り方で、曲に呼ばれて歌い方が変化してるのがすごい。ちょっといい意味で投げやりになって、振り回してついた勢いみたいな歌。この歌にはクセがある。それも取って付けたようなクセじゃなくて、素材がどんどん育ってきたクセ。平地に建物を建てましたみたいな感じじゃなくて、細胞が細胞分裂起こして形が出来てきたような感じ。山内くんのまっすぐな歌が好きだけど、そんなふうにして徐々に突出してきた独特のクセもとてもいい。

韻の踏み方が最高に気持ちいい。合いの手みたいなのも、と思ったら歌詞にしっかり入ってるのがおもしろい。声に出した時の乗りをすごく意識している歌詞な気がする。「運命のバカ」ってこういう事も言えるようになったのかーっていうのとその歌い方がとても色っぽい。

最後のバンバンバババババンってコーラスの怪しい民族みたいな感じも好き。フジファブリックのコーラスはいつも普通じゃなくて、毎回趣向を凝らしてて楽しい。

STAND!!の中でもFREEDOMと炎の舞の2曲が特に立ってて真っ先に気に入った。

シングルSUPER!!とSTAND!!の1、2曲目に南石聡巳さん関わってるんだよね。もしかして南石さんの音作りがとても好きなのかもしれない。


5. have a good time(Words & Music: 加藤慎一

炎の舞のダークな感じを引き継いでてすっと曲に入れる。マイナーで暗い鍵盤のリフがたまらない。加藤さんの作る曲は1曲の中に2〜3個世界が入ってる事が多くて、この曲はこれでいいんだけど、途中で飽きて変えたくなっちゃうって言ってたそこを我慢してもらって、1個の世界をより深く掘り下げてみて欲しいなと思ったりもする。


6. プレリュード(Words: 加藤慎一 / Music: 金澤ダイスケ

ちょっと昔の懐かしい世代感があって、ちょっとキザっぽいドライブって感じ。「ビートが転がってんだよ」って表現とか。車窓の景色が流れていくみたいでとても心地いい。事前に解説とか読んでなかったから、あとでタイトル見てああー!ってなった。サビがサビです!って感じじゃなくて落ち着いたテンションで入るのが新鮮。金澤君の作る曲かわいいな。作詞、最初金澤君かと思ったけど「〜ぜ」って表現が山内・加藤っぽいなと思ったら加藤さんだった。曲が終わる頃にすっきりした気持ちで一人ドライブ終了って感じ。


7. COLORS(Words & Music: 山内総一郎

Aメロの違和感がたまらない。山内節〜。展開が思いっきりLight Flight姉妹って感じでかわいい。「隠したとしても〜明日」の下がって上がっていくところがめちゃくちゃ好き。賛美歌聴いてるみたいな清い気持ちになる。歌詞は色は出てくるけどCOLORって感じはあんまりしなくて、他の曲が濃いから比べるとあっさりめ、曲全体が冬に近い秋っぽい。ちなみにファブリックシアター11/17で歌ってた新曲はCOLORSだ!「もし君に〜もし君に〜」を聴いてアッと蘇った!


8. ポラリス(Words & Music: 金澤ダイスケ

三日月アドベンチャー1人で引っ提げてた新曲だからか(正確にはPRAYERと2人でだけど)あのツアーの頃の思いとか景色が全部曲に染みこんでいて、聴くといまだに心がざわざわする。ずっと新曲みたいな新鮮な感じ。このアルバムのテイストとはちょっと違う感じがするけど。


9. Girl! Girl! Girl!(Words & Music: 山内総一郎

改めて読んで、やっぱり山内くんの歌詞好きだ。山内くんが喋りだしそうな歌詞。そういう部分がこのアルバムで更に出てきてる気がする。この曲はかなりライブで化ける余地を残してツアーを終了したから、次のツアーでいっぱい歌われてライブで爆発してもらいたい。


10. the light(Words & Music: 金澤ダイスケ

インタビューで「元々ピアノアレンジだったけど、山内くんが変えたいって言って最後にひっくり返った」と言ってたけど、それが自分にはものすごくいいように作用した気がする。ピアノだったら割と普通な感じになってたのかなー。このアンビエントでノイジーな感じ、めちゃくちゃ好み。最後音の洪水で終わる余韻がすごい。とはいえネイティブバージョン(by金澤)もいつか聴いてみたい。またアコースティックライブとかやる日が来たらオリジナルバージョンにチャレンジしてみてもらいたい。1曲に2つの形があるというのもおもしろいかも。

最初聴いた時、山内くんの声がFire現象というか、この音に乗るには山内くんの声は柔らかくて感情ありすぎるんじゃないかと思った。感覚的に「幅が分厚い」、もっと折りたたんで、鋭角で、感情落とした声の方が合うんじゃないかなーとか思った。でもこの音と曲に合う声ってどんな声だろう?ってなると全然具体的に思いつかなくて、しばらく出勤途中に聴きながら(なんかこの曲、朝出勤途中に聴くのが好きだ。身が引き締まる思いがして静かに高まる)あれこれ考えてたんだけど、しばらく聞き込んだらこの音にこういう声が乗るからおもしろいのかもなーと思うようになった。まぁ山内くん自体かなり歌い方を変えてきてるんだけど。大人な顔が見えて好きだ。

この曲は場所を移動していかないでずっと同じ場所にいる感じ。ずっと同じ視点で見てるんだけど、そこから世界が無限に広がっていく感じ。

これ、後半の歌詞フジファブリックの事言ってるんだよねー。最初はぼやーっと聴いてたけど、その事に気付いた瞬間ものすごく感動してしまった。そしたら金澤君がSTAND!!の特設サイトの曲解説で言ってた「このバンドはもっともっと行けますよ」って言葉とビン、とつながった。

今まで金澤君の歌詞はいつも綺麗であっさりめだな、と思ってたけど、この曲ではその綺麗さが逆に凄みみたいになってた。でもやっぱり金澤君の歌詞はどこまでも澄んでいて透明で。人間くさく、もやもやを歌う人(山内)、ドロドロを歌う人(加藤)もいて。でも金澤君はこのままでいいな。別に今後ドロドロ歌いたくなったらそういう歌詞書いてくれても構わないけど。笑

ライブではこの曲どんなにパワーを持つんだろう?って震える。スタンドマイク1本で歌って欲しいなー。

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ミニアルバムBOYSとGIRLSからGreen BirdとGirl!Girl!Girl!が1曲ずつ入ってるけど、それに関しては肯定派であります。自分が誰かに興味を持って音楽を聴き始める時、最初に手を出すのがフルアルバムで、ミニアルバムは最後の方になりがち。(曲数が少ない・実験的なイメージ)ミニアルバムの中だけで終わるのは惜しい、フルアルバムでドーンと真ん中に位置するスケールの曲だと思っていたので、フルアルバムに入って良かったと思ってる。知られてなさすぎるから、少しでも人目に触れて聴いてもらう機会が増えるならそれでいい。夢みるルーザーも入れてくれても良かったぐらい。(ライブの定番にして欲しい)変わっちまったなぁ。昔はシングルがアルバムに入ったり、ベストが出たりしたら騒ぐタイプだったけど。

でも収録曲数はやっぱりちょっと少ないかなーと思う。アルバムってそんなポンポン出るものじゃないから、次はまた2年半後ぐらい……?と思うと、これから数年これを聴いて生きていくのだから、あと新曲3曲、全13曲ぐらいは欲しかった。入ってる10曲、すごくバランスいいんだけど。曲順も最高だし。

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好きなミュージシャンのアルバムが一発でいい!と思えるのとか何万年ぶりだろ。

いつもフジファブリックの新曲を聴いた時、どこか弾けきれない部分があって、でもだんだん好きになるのもわかってて、ライブはめちゃくちゃいいし、こういう好きもありかな、こんな感じで続いていくのかな、と思い始めていた。一聴目で反応出来なくても、それはそれで。とか。音楽雑誌を読んで、新曲6曲、みんなが持ち寄った曲、寄せ集め感のあるバラバラな感じのアルバムになるのかな……とかちょっと思ったり。すみません。想像をはるかに超えてました。みんな、すごい、がんばったんだね・・・。このアルバム、好きだ!

STAND!!の音像が好きだ〜〜。

音の中にLIFE以降の事が全部入ってる。ツアーも対バンもフレパも弾き語りもエンドースメントも全部。

3人の持ち味がだんだん濃度を上げていってるように感じる。

そしてアルバムの中心を一本強力につらぬいてる綱みたいな歌声。こんなふうに感じたの初めてだ。今まで一個一個開いてた引き出しが、今回はもうその棚おもむろに持ち上げて横に乱暴に振って複数の引き出しが一気にパカーッと飛び出してきた感じ。何に刺激を受けて、どっからその表現出てきたの。

才能ないとかどの口が・・・

音楽雑誌のネガティブ発言は、過ぎ去った後の「こんな事あったんですよー」って話だった。山内くんはとっくに乗り越えてた。

熊本でライブやった時のMCで「山内家のアクシデント」について話した時も思ったけど、志村の事も、バンドの事も、その只中にいる時はなんともない顔してるのに、ほんのちょっと越えた後で話すねいつも、彼は。

強いなぁ。

明るい前向きだけじゃない部分を出してくれるようになったのも良かった。人の気持ちを後押しするのは、ポジティブな表現だけじゃないから。へこんだり悩んだりそういう姿を見て、力が湧いてくる事もあるから。


このアルバム、きっと伝わるよ。


新譜が新譜である時間はすぐ終わってしまう。その先にもっと深くて素敵な世界が待っているのはわかっているけれど。あのワクワクしながらFREEDOMから聴き始めた時の明けていくような感覚、忘れたくないなぁ。