Water Lily Flower / フジファブリック

Water Lily Flower

Water Lily Flower

Water Lily Flower / フジファブリック


初めて聴いた時からこもった熱が抜けない。リフがずっと頭の中を鳴っている。

パッションとかエネルギーが渦巻いてる。 Cメロあたりからは地響きがしてくるみたい。歌詞の一言目に「轟音はカーテンを揺らす」という言葉を置いてきたのもすごい。いろんな想像を掻き立てられる。

Water Lily Flowerは絵画みたい。ライブで初めて聴いた時から森の中の深緑と淡いスミレ色と光を感じている、けど金澤ダイスケ撮影のジャケットを見てからイメージに海の要素も入ってきた。曲を聴いているといろんなイメージが浮かんできて、それは少しずつ変わってきてる。

音、演奏、ボーカル、音源として完璧すぎる。
いくらでも掘り下げる事が出来る音源ってあるけど、Water Lily Flowerはまさにそれ。

前奏からコーラス入れたの、天才か。ここで既にこの曲のイメージを形作ってる。

ドラムが入ってくるところ、ベースが入ってくるところ、完璧すぎる。野生の生命力みたいなリズム隊、めちゃくちゃ気持ちいい。

最初の方に右側から聴こえてくる鍵盤の音が、硝子瓶の中を転がる硝子玉のようで、ポチポチ点滅する滲んだ光のようで、遠くで聴こえる船の汽笛のようで、差し色みたいですごく印象的。

この曲は鍵盤の音を強く感じる。で、ギターは控えめなのかといえば、いつもと違って思いっきり前に出てる訳じゃなく、抑えつつも絶対にそこにいなくてはならないという独特の存在感放ってて、こんな表現もあるのか・・・とグッとくる。

山内総一郎の歌声が別人みたいだ。あったかい山内総一郎そのものみたいな手紙とはまったく違ったアプローチ。

朗々としない、感情を抑えめのボーカルで無駄なものが何もない。淡々としてるけど内側に静かな情熱を感じる。完璧。よくこんなボーカル録れたな。こんなテイク録れてみんな嬉しかっただろうな。

特にCメロの歌声にドキドキする、もっといえば「紛れも」。その声と"紛れもない今"という歌詞もあいまって、自分にとってはこの部分が一番響くようになってしまった。誰………!?って混乱するし、ここにいろんな感情が渦巻いてぎゅっとなる。

ほんと、どんどん人を惹きつける、素晴らしい歌声になってくね……。

逆をいってる。歌に癖がなくなって、つまらなくなるんじゃなくてどんどん核心に迫って強くなっていってる。

なぜ焦らない。普通なら自分の歌を一刻も早く確立させたいと焦るはずなのに、なぜ。

最初から自分の歌を信じてた……とかじゃなくて、ただその時点で自分に出来る事をひたむきにやってきた結果なんだろうな。そこもまた最初からボーカルとしてデビューした人とは成り立ちが違う。でも口に出して言わないからわかんないけど、今はちょっとは自分の歌で誰かの心を動かせる事を、信じてるんじゃないかな。

「ああ」がいいよね。この瞬間が来るのを心待ちにしてしまう。歌詞に載ってるのもいいよね。

サビでたくさん声を重ねてるのも幻想的で気持ちいいー。

山内総一郎が高いところを歌い切る時の特徴の、そこまで本当に丁寧に歌ってるのに最後の最後で投げるように乱暴なところがほんの少しだけ語尾に残っちゃってるのが好き。隠しきれない感情みたいで。(Light Flightでも見られる。どうでもいいけどLight Flightってタイトルめっちゃいいよな……)

音源ではこうだけど、ライブだとつい感情が入っちゃう瞬間もあるんじゃない?そうなった時もすごく楽しみだな。。

間奏の入れ込みようもすごい。間奏の中だけでも幾つかの段落があって、違う世界観と物語があって、間奏だけでひとつのインストが作れそう。

全員がガーッと目の前の、自分の音を鳴らす事だけに集中して、魂が抜けるみたいに演奏している人から音が飛び出して、勝手に合流して会話して混ざり合ってグルーブになっていくみたいな。

美しさの中にほんの少しの狂気が混じってる。以前サタデー・ナイト・クエスチョンを提供された中島愛さんがインタビューの中でフジファブリックのレコーディングを見学させてもらった時の話をしてて「本人達は優しく穏やかで気の良いお兄ちゃんみたいな感じなのに、楽器を手にすると目の色が変わって本能がガッと開いたような、音楽が好きすぎて好きすぎて狂気さえ感じる」って言ってたけど、それを思い出した。

この曲を構成する一つ一つの音がこの曲の事しか考えていなくてこの曲の為にだけ機能していて、ここまで音の曲に対する思いを感じた事はなかった。音、とはひいてはそれを出す人、につながるのかもしれないけど。人、というより音、そのものが独立して感情を持っているような。その音の一つ一つに織り込まれた思いに、泣きたくなってしまう。

キーボードの音とギターの音どちらかが前へ出たり引っ込んだり、相手を感じながら、遊ぶように、絡まりそうで絡まらない距離で近づいたり離れたりしながら軽やかに併走するようなこのバランス……ッ、全然違う個性同士のこの呼吸、これチャットモンチーの「きらきらひかれ」カバーの時も感じたんだけど、フジファブリックの最大の強みのひとつでもあり、悶えるほど好きだ……!!

インストの(あっ違う)間奏の最後の章のギターの音が音の合間をすり抜けるように、海の中を悠然と一頭で自由に泳ぐイルカみたい。海中の表面にその姿が透けて見えるのを空から見ているみたい。

ライブで聴いた時は憂いとか暗さを感じたけど、(フェイクという言葉の強さもあるかも)音源で通して聴くとまた印象が違う、音源では開けていく感じ、希望の方が前面に出ているように感じた。

人に見られることによって人の顔が変わっていくみたいに(山内くんみたいね)曲も人に聴かれて変わっていくんだと思う。人も曲も、誰かに愛されてそのものになるのです。ってチャットモンチーの曲みたいだな。

ちなみに、自分が思う、フジファブリック山内総一郎作曲によるサビで開けていく曲ベスト3(発売日順)

・efil
・FREEDOM
・Water Lily Flower(New!)

カラーは全部違うけど全部好きすぎる〜。

番外編:サタデー・ナイト・クエスチョン

最後のサビで山内くんがどんなリズムを刻むのか、ライブで確認したい。

ほんとに好きな曲に出会うと、ウワーッてなってエンディングまでに気持ち保てなくて最後までまともに聴けない。Water Lily Flowerも最初そうだった。

アウトロ、最後の余韻の音まで完璧。

ライブで金澤ダイスケの鍵盤の音がブルーみたいに切り裂いてくるんじゃないかと、どんどん変わっていくであろうアウトロを楽しみにしてる。


...


サビを大きな声で歌いたくなるような曲でもある。(ライブで、という意味ではない 笑)山内くん、歌ってて気持ちいいんじゃないかなー。

この曲は遠いところまで届くんじゃないかと、この音源を早くいろんな人に聴いてもらいたくてウズウズするけど、今は先行配信、まだ焦る必要はない。映画、FAB FIVE、映画のサントラとあとから時間差で弾けるものが控えているのは幸せな事だと思うし、聴いてもらえさえすれば響く自信がある。じわじわとでもこの生まれた素晴らしい曲が浸透する事を願ってる。