フジファブリック I Love Youツアー Zepp Tokyo(配信の感想)
2021/6/30 フジファブリック I Love Youツアー Zepp Tokyo(配信)
開場 17:30 / 開演 18:30 / 終演 20:55
毎回ツアーが終わる時は感慨深いものだけど、今回は1ヶ月7本という短いツアーではあったけど完走するという事にいつも以上に特別な思いがあるな・・・とか思いながら今日の日を迎えた。
行けないはずのオーラスを配信で家で観られるの最高ー!それだけで感謝します…!と思ってたはずなのに、始まってみたら最初の方妙にカット割が早すぎる気がして、そして全員まんべんなく映すのはいいんだけど音楽の見所に関係なく「公平に」「順番に」ただまわしてるように見え、それがことごとく自分の見たいところとずれていて、「これはいつもと同じ映像チームなのだろうか」と思うほど、若干のストレスを感じながら観ていた。(ほんとどういうつもりと自分でも思うんだけど)(感謝してます感謝してますめちゃくちゃ感謝してます)それも後半には感じなくなったけど。それどころじゃなかったっていうのもある。
でも思うに、これはたぶん今回自分も実際にツアーを観に行ってて、それはもう自由に自分の見たいものを好きな時に好きなよーーーに見て(ライブって、そういうのがほんと素敵!)直後だったのでその自由とのギャップ?っていうのと、これが超個人的で一番の理由だと自覚してるんだけど、『efilのAメロリフを弾いている山内総一郎の規則的に動く左手を最初から最後まで観る』というのを生業としているので、今回配信で映像で観られるのを心の底から楽しみにしていたのがほぼ叶わなくて(あまり映さない、映してもほぼ引き、映してても角度が違う、すぐ次の画面に切り替わる、、、)残念だった、というあれです。
と今思えば前半そんなふうにとても呑気に観ていたのです。「前髪のひと束がずっと違う方向にいってるのがめちゃめちゃ気になる」とか「efilでいきなり髪型変えるの(横流し)やめて 笑」とか思いながら。
たりないすくない
大阪で感じたようなりらちゃんパートで雰囲気が変わるというのはもうなくなってて、ひとりで歌う歌として整っていった。だらしない影~あたりのリズムの取り方、絡まるほどに高まるモード~あたりのジェスチャー好き。わくわくするような曲を体現するように歌うの素敵。
東京
今日はJUJUさんが来るからここは赤い果実じゃなくて東京なのかー!東京入るのめっちゃしっくりくる。なんかI Love Youの世界観に合うなと個人的に思ってた過去曲→東京、バタアシParty Night、robologue。今日の東京リズムがなんかしっくりこなかった。
楽園
金澤さんのコーラスの表情が狂気ってていいですね。間奏入る前のギーンッてギターのところで暴れてるの(ちゃんと映ってないけど)いいですね。今日の「やめちまえよ」はいいやめちまえよ。(ダミ声のバランスが過剰すぎず丁度いい)
Dear
最後の方、あんまりないようなところであれ?と思うような声のぶれ。でもその時はたまたまかな、とそんなに気にしてなかった。
手
短いMCを挟んで歌い始めて、声が当たってない感じ、か細くなる感じ、コントロールが効かない感じ、険しい表情… 変な汗が出てきて血の気が引いた。さっきまで普通に声出てたのに一瞬じゃん。喉ってなんて繊細なんだろう。歌って→MC挟んで→歌、みんな普通にやるけどあれでリズム狂う事とかあるよね… 歌う人はMCするの大変だと思う。
最後のファルセットが全然音が出てなかった。こんな表情で歌うのも初めて見た。
歌い終わって
山内「あー最終日飛ばしすぎたなこりゃ、はは」
笑いながら言ってるのを見て、顔面蒼白。
喋り続ける山内くん。無理して喋らないで……と思ったところで「ツアーファイナルですねダイちゃん」と山内くんが金澤君に話を振った。後ろにまわってスタッフに耳打ちする、何かを取りに行くスタッフ、背中を向けてドリンクを飲む、咳払いをする、笑うけどすっと顔が戻る… きっとぐるぐるいろんな事を考えている、背後のそんな様子が気になってそこからの金澤君の話は全然耳に入ってこなかったんだけど(あとでちゃんと聞き直したよ…!)キーボードブースを出てステージの真ん中にきて喋りまくる金澤君と同じく真ん中に寄ってきて喋る加藤さんは、二人で山内くんの喉を回復させる時間を作って、二人して山内くんを守っているようだった。
これからのセットリストに思い巡らせてくらくらする。今はまだ序盤、これから「陽炎」→「あなたの知らない僕がいる」の鬼プログラムも控えてる。特に「あなたの知らない僕がいる」は調子がいい時でも難しい曲。とても高い壁、難攻不落の山がそこにそびえてるように感じた。今の喉の状態で歌うのは無理では……?回避する、なんて事あるのか…?しかもこれが普通のライブならまだしも今日は配信で全国の人が観ている。しかもゲストにJUJUさんが控えている。自分だったらもう怖くて逃げ出したい。とりあえず一旦ステージからはけて体勢整えたい。
でも山内くんはずっとステージの上にいた。ステージの上で普通の顔しながらたぶんものすごい不安と戦いながら次の事を考えてた。言ってたもんね、人が緊張してる姿を見るのがいやだと。だから自分も見せたくないと。動揺してる姿なんて絶対見せたくないし、ましてや人に心配されながら見られるなんてまっぴらごめんだよね。それはもう山内総一郎のステージに立つプライドというか。
フロントマンは、ボーカリストは、やっぱり柱なんだ。恐ろしいな、自分がライブを壊す事になるかもしれないものをしょってるって事は。そしてまわりは支える事は出来るけど、その人の喉を治す事は出来ないしその人の代わりになる事は出来ない。結局自分でどうにかするしかない。ボーカリストとは、そういうものなんだ。
でも、この短時間で喉の状態が回復する事ってあるの?なにか出来ることってある?
ちょうど最近観た情熱大陸でボイストレーナーの佐藤涼子さんの回を観た。りょんりょん先生、と言えばロックバンド界隈でも昔からとても有名な方で、志村君も指導を受けてて、放送では体の使い方ひとつで声の出方が違うのかーとか体力つけないとライブで持たないとか、ボーカリストってただ好きに歌ってるんじゃなくてめちゃくちゃいろいろ考えてるんだという事を知った。その時はちゃんみなさんが会場が乾燥しててライブ途中で喉がカラカラになって楽屋で吸入したりしてたけど。
金澤君も喋りながらいろいろ考えてるんだろうなぁと思った。MCタイムが終わって、次の歌歌うの、声が出るかめちゃくちゃ不安だっただろうな。画面の前で頼む、声、出てくれ・・・!と神様に祈るような気持ちだった。
Walk On The Way
歌い出して、あ、声、出てると思った。ちょっとまだガラガラしてるけど、ちょっと不安定なところあるけど、さっきと全然違う、ちゃんと当たってる、力がある感じ。ちょっとほっとした。山内くんの表情にさっきまでの不安さはなかった。
しかし山はここからだ。
ここであの加藤小噺タイムに救われるとは・・・!グッドタイミングだった。大阪~名古屋ではきょうの1曲の実写化みたいなテイストだったのが、東京では怪談タイムに変わってた。笑 ブースから出てくる金澤君もそうだけど、この小噺も元々やってた事だもんね。それがこんなふうにピンチを救う事になるとは。日頃からいろいろやっておくもんだね。(でもそうやっていろんな事を考え尽くされたタイミングでのMCの時間なのかもしれないね)
陽炎
出てる。声出てる。すげ~~~~、回復してる・・・。語尾の柔らかい部分も復活してる。
あなたの知らない僕がいる
この曲を配信とかみんなの前でドカーンと歌うのを楽しみにしてた。今日の調子で歌うのはもしかしたら不本意だったかもしれない、けど、今日のあなたの知らない僕がいるに心打たれた。今日の声が、いい。伝わる歌っていうのはこういうものなんだ。
クライマックスへ向かう「冷えるねって手を繋いで~」を歌い始める前の、すべてを受け入れたような雑念は何もない歌う事にすべて集中した姿がとても美しかった。見たことない顔だった。歌う全身からほとばしるエネルギーが見えるようだった。以前声がひっくり返ったところが今日は細くても届いた。気力が、強い思いが声を届かせたいところに届かせたんだと思う。
もうここまで来たら大丈夫だと思った。ひとやま越えてほっとしたところでJUJUさん登場。曲に合わせて赤いかわいい衣装で来てくれたの嬉しかった。飄々としてて、笑わせてくれて、ほんとにこのタイミングでJUJUさんが出てくれて良かったなー。
山内「かなりダメ元でオファーしながら。受けてくださって」
JUJU「ダメって絶対ないじゃないですか。フジファブリックに呼ばれて断る人います?」
山内「フジファブリックのオーディエンスはどうですか?」
JUJU「お客さん達と演る側ってイコールじゃないですか。こっち(ステージ)もフジファブリックならあっち(客席)もフジファブリックだなぁって」
JUJU「(JUJU苑)声の通りの想像しているまんまの山内さんがいらして、声を出された瞬間に、手紙を一緒に歌っていただいた時に”ヤバい本物がいる”っていうのがあって、本番の時は本番の時でリハって何なんだろうなっていうぐらいのリハを凌駕するあの声」
JUJU「(赤い果実)デモの段階でラララとトラックだけで聴いて、私ちょっと泣きましたもんね。あのリハーサルとかあの現場からこれがもし山内さんが受け取って下さった私達の印象だとしたら、生きてきてよかったなって思いました」
JUJU「NYに人生の半分ぐらいいたんですけど、その時に一緒に遊んでた人だったかな?と思ったぐらいその頃の事をめちゃくちゃ思い出したんですよ。ほんとすごい嗅覚。あの時間の中で私の人生の半分ぐらいいたのをコード感に集約出来るスーパーコンピューター的な?山内富岳があるんでしょうね、きっと」
以前JUJUさんがインタビューで「私のライブリハで初めてお会いした時、透明感というものを人にすると山内さんになるし、山内さんにかかると周りの全ても透明になっていくんだなぁと思いました」って言ってた時もわぁ・・・なんか「わかってる」、この人、と思ったけど、今日のJUJUさんが話した言葉もとても素敵で嬉しくて。
なんかこういうところに気付いて表舞台でそれを言葉にして山内くんに直接伝えてくれる人ってそんなにいなくて、なんか、山内くんは「この人にはちゃんと伝えたい」と思わせるような人なんだと思うし、今日の言葉はほんとにめちゃめちゃ嬉しかったと思うし、それだけでもうこの人の事一生信頼してしまうようなずっと心に残るような言葉だったし、今日最後まで山内くんを歌わせた力のひとつになったんじゃないかな、と思った。
赤い果実をJUJUさんが歌い始めて、「わーJUJUだ!」と思った。笑 2番の歌い出しJUJUさんパートを山内くんが歌いかけて舌ペロしてたけど、すっかり一人で歌うのが染みついたのね、と思った。笑 そこに歌ってくれてる人がいるっていうのは、いいね。
光あれ
揺れるバングルライトの光、映像で俯瞰して観る事が出来てよかった。ステージからの景色も見られてよかった。とてもきれいで泣きそうになった。
あーああ、めっちゃ叫ぶ・・・・、声も笑顔も戻ってよかったなー。泣
ポラリス
光あれからポラリスになだれこむのめっちゃ好き。I Love Youツアーにおけるポラリスの清涼感と疾走感がとても印象的だった。
徒然モノクローム
「行き詰まった時、それが、そこが始まりですという曲です」今日特にその言葉が染みるね…。写真OKの徒然モノクローム、映像だとどんな感じに映るんだろうなーと思ったけど、みんなが思い思いに好きな場面を撮ってる画面を映像で映してるのがおもしろかった。Bメロ~サビに向けてカメラ撮影を終えほぼノってるフジファブリック民、素敵。笑(そして間奏に入るとスマホを掲げる)今日の間奏のギターソロいいなー。
終わったあと山内くんが「撮れたか~」って聞いてくるの、お兄さんぽくていい。
アンコール
MCでフジフレンドパーク開催の告知する時山内くんが「フジフレンドパーク2011~~…2021~~!」って年数10年間違えるのこわすぎるわ。笑 久々のフレパ開催嬉しい!あの中止になった年の幻の対バン相手がわかるのも嬉しい。1年経っても快諾してくれてありがとう!その頃には世の中はどうなっているんでしょうね。
手紙
最後になんであんなふうに歌えるの。ボーカリストって、すごいなぁ。
「手」を谷にして、V字回復。何をどうやったらそうなるのかわかんない。人間の体なの・・・
2018年3月23日の帰ってきた!!三日月ADVENTUREツアーオーラス1日前のEX THEATER ROPPONGIでも同じような事を思った事があった。終盤にかけて山内史上一番ってくらい喉をやられて声が出てなくて(でも今日に比べればいつも観てない人だったら気が付かない程度だったかも)アンコールもう歌えないのではないかと思った。でも持ち直してケロッと歌ってて(って当時自分は思ったけど、その時も決して「ケロッと」ではなかったんだろうね…)ライブ中に喉を痛めてしまってもう声が出ないのでは、と思ったボーカリストが魔法でも使ったかのように不思議とまた声が出るようになるの、あれは身体の限界を超えたところで音楽の神様が力を貸してくれるのかな、なんて思ったけど、でも今回のライブ観て、そうじゃないと思った。それは奇跡じゃなくて、ボーカリストが自分の体と経験で、自分自身で乗り越えているのだと。
ライブの途中で声が出なくなった時、出ない声のまま最後まで力いっぱい全力で歌って、そんな姿が胸を打ったねって。自分にはそんなシナリオしか浮かばなかった。そういう人を見た事もある。でもそれは最終的には誰もしあわせにならない方法で。でも山内くんはそうはならなかった。想像でしかないんだけど、ボーカリストは何かあった時の手段をいくつか持ってステージに立ってるんだと思う。いつものような歌い方は出来ないけど、モードを切り替えたように見えた。フジファブリックのライブとして成立させて歌い切るために。精神論でがむしゃらに歌って喉を壊すのではなく、コントロールして、持ち直して、プロとしてのクオリティで歌い切った。山内くんは冷静でクレバーだ。そしてあのいつもステージでの肝の据わったところは何なんだろうなー。
でも最後の方完全にいつもの歌い方に戻ったのは自分の想像を越えてた。ボーカリストって、すごい・・・
それでも人間の体なのでどうにもならない事もある。あって当たり前では、ないんだよなぁ。山内総一郎の声はこの世でひとつの楽器だ。大切にしたい。山内くんが自分の出したいと思う声でこれからもずっと歌い続けていけますように、この世で一番大好きな歌声をこれからもずっと聴いていられますようにと思った。
そしてメンバーがとても頼もしかった。バンドとして強すぎる。何があっても!!!絶対に最後までやり通す!!!という気迫を感じた。痺れた…。そして、二人は本当に信じてるんだなーと感じた。山内くんの事を。何かがあった時バンドがどう乗り越えていくかっていうドキュメンタリーをリアルタイムで見せられた気分。配信で観られて良かった。途中すごいドキドキしたけど!これがフジファブリックというバンドの乗り越え方。
バンドって最高だ。
聞き込んで聞き込んでやっと生で聴けたI Love Youの曲たち。山内総一郎だけで歌うとちょっと重めで人間味滲んじゃうコラボ曲がもう愛しい。また聴きたい。そして音源に戻るとその軽やかさがまた新鮮に響く。ライブって、いいな。
何かをやろうとして全力で取り組んでいたものを途中でぶった斬られるって、頭の切り替えもなかなか出来ないし、ずっとすっきりしなくて引きずってしんどかっただろうなと思う。何かひとつ通してやり終えて区切りをつけるって本当に大切な事なんだ。
I Love Youツアー完走、おめでとうございます!
セットリスト
LOVE YOU
SHINY DAYS
efil
会いに
たりないすくない
東京
楽園
Dear
手
Walk On The Way
陽炎
あなたの知らない僕がいる
赤い果実(with JUJU)
光あれ
ポラリス
バタアシ Party Night
徒然モノクローム
LIFE
en. 手紙