【ライブレポ】Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール 山内総一郎

8月のこの状況で大阪城ホール。なんだけどその前の週の土日に大阪城ホールで行われたTHE BONDSという2DAYSのイベントの様子と前日にも行われた同イベントの様子をOsaka Music DAYS!!!のアカウントがかなり詳しく伝えてくれたのがとても参考になった。座席や会場の写真や対策など、ここまでしているのならという安心材料になった。

行きの電車は連休の日曜日とは思えないほどとても空いていてとても穏やかで別世界のようだった。カンカン照りの大阪城ホールへの道。いつもはイベントの日はイベントに行かない人もたくさんいて賑わっている周辺のお店もとても静かで、いつもぐるっと人が座っている噴水には誰一人座っていなかった。

事前にいろいろ登録するの大変そうだなぁと思ったけど、Web問診票も大阪の追跡システムも当日朝に簡単に済んで、時間がかかるのかなと思っていた入場もとてもスムーズだった。入り口で手首で検温をして、自分で電子チケットもぎって、入場者全員に配ってる携帯用の消毒液もらって会場の中に入った。久しぶりのライブ会場だ。

会場に入ってみて、結構人がいるなと思った。スタンド席は両隣空けてある。体感的には「だいたい座席が埋まっている電車」みたいな感じ。人が入ってる映画館ぐらいかな。9日のチケットは完売しなかったからスタンドのうしろの方は人が座ってなかった。あの誰も人がいないあのあたりに行きたいなと思った。

前方にシンプルな四角いステージ、左右に中ぐらいの大きさのビジョン、バックステージ席も販売してたけど、うしろにも人がいたのかな?(暗くて見えなかった)

...

マカロニえんぴつが5ヶ月ぶりに触れる生演奏になったんだけど、バンドサウンドに体の細胞が喜んでるというか、体が勝手に振動するようなおかしな状態になった。そしてダーダー泣いていた。嬉しかった。マカロニえんぴつの音も久しぶり(5ヶ月振りって言ってた。3月ぐらいから始まったからミュージシャンみんなだいたいそれぐらい振りか)に人前で演奏する喜びに満ちていて、それがまたなんか心に響いた。

「音楽は不要不急って誰が言った。そんなわけないのに」
「5ヶ月間我慢出来ました。みんなが我慢してくれたから」
「ずっとこれがしたかった。これからもずっとしたい」

って感極まったMCにまた泣けた。
瑞々しいなぁ。

この時点でこれってこのあと自分はどうなってしまうんだろう、と思った。


15:05- 山内総一郎

 

暗闇の中、上手からカタい感じでトコトコと登場。

立った状態で弾き語りを始めて「そうだこの人は立って弾くスタイルだった」と思った。忘れてたわけじゃないけど。そう思った。


LIFE

自然発生的にパラパラ手拍子が起こる。サビ途中でギター演奏放棄して手拍子を促す。笑

間奏のギターソロは一緒にヘロヘロ歌うバージョン。(っていうか弾き語りの時ほぼそれしかしてないか。)

あれ?あれあれ?あの茶色っぽい服・・・私が心から愛すI FAB U水戸でたった一度だけ見たロゴみたいな柄のテロテロオールインワンでは??????

と思ったけど、ビジョンでは柄が確認できず、ああいう色のシャツあったしな、、、ああいう色のパンツもあったしな、、、んんん、と確信持てず。最初割とそこに引っ張られ、久しぶりのライブなのに、そこ???と思った。(自分に)


徒然モノクローム

前奏で、コード進行でわかったもんね…。オタクだから…。

重たく渋い徒然モノクローム。毎回弾き語りで意外な曲で予想外のアレンジかましてくるチャレンジ精神、ほんっと好き!!!歌い方もアウトロー。しっとりとする場面もあったり。山内くんの弾き語りは山あり谷あり、アレンジで曲の中にまた新たな物語を作るからおもしろいなぁ!


ブルー

今日のイベントはタイムテーブルが事前に発表されていて、基本的には演奏中は移動不可だけど、再入場可。普通の状況ならたぶんこの手のイベントは出来る限り目当て以外も観てもらうためタイムテーブルは発表しないし再入場も不可だけど、今回のこの状況だからの判断だと思う。目当ての人だけ見るような動きもあったんじゃないかなー。でもそれもしょうがない。

2曲目ぐらいまでなんとなく「よく知らない」みたいな会場全体の散漫とした空気を感じてたけど、ブルーが演奏されてる時、会場の気持ちが静かに集中していくのを感じた。ブルーはそういうパワーのある、普遍的なものがある曲だと思う。

ギター上手いなー、あの厚み、ほんとに歌いながら弾いてるんだろうか。ギターの音いいなぁ。歌手だなぁ。

じわじわと噛み締めていた。

曲が終わって「ありがとうございます。こういう状況になって…」と真面目に話し始めようとしたところで次の曲で使う予定のものなのか、足元のリズムマシーンに触れてしまって「パツン、パツツン」とリズムが鳴り出し「あ、止まらない。」と妙に冷静な感じで言って客席に静かなさざ波のような笑いが……

「こういう状況になって、」(構わず続ける!)(つよい)
「先を見るのもしんどいというか、やだなって思う時もありましたが、こんなふうに大きな会場でお客さんの前で演奏できて、やっぱり音楽は先を照らす光のような存在でないといけないなと思いました。そんな思いを込めた新曲を聴いてください」


光あれ

このイベントが決まった時点でそうなると思ってたけど、初聴きは弾き語りか~!

最初の部分を静かに歌ったあと、リズムマシーンのコトンコトンという胡桃が落ちるような音と不思議なリズムに乗せて曲が続いていく。高いところが続くところをギリギリ苦しそうに歌う様がいいな。音源だと軽やかな感じだけど生だとすごくエモーショナルな歌い方になるなー。アレンジも照明も大人っぽく、会場がしっとりとした雰囲気になった。

「僕は大阪出身で、去年フジファブリック大阪城ホールでライブしたんですけど、久しぶりに立つことができて嬉しかったです。最後に故郷に向けて故郷の事を思って作った曲をやります」


手紙

山内くんの歌い方の表現がまた変わったなぁ。声にドームみたいな奥行きが見える。この広い大阪城ホールで歌詞がはっきり聴こえる。より強い、そして独特の表現になった。一声目が強く突き刺さるけど、そのうしろにふわぁっとした尾ひれがついてるみたいな声だ。それが会場をゆったりと泳いでいく姿が見えるような、とてもきれいな声だ。
終わりの礼をするようなギターの音の締め方が清らかでとてもかわいかった。

暗転して上手にスタスタスタと歩いていったあと、最後小走りにセットの中に消えていったのがかわいかった。。


5ヶ月振りに触れた生声、生演奏。
意外と落ち着いて聴けていた。
山内くんの音楽がちゃんといつもの場所に落ち着いて連れて行ってくれた。

「5ヶ月振りにライブに音楽に触れる私」に溺れる事なく、「困難な中でやっと出会えた事」に酔う事なく、そこが感動の焦点ではなく、ちゃんと音楽の中に感動の焦点があって、その時はいろんな事を忘れて音楽に没頭することができた。なんか今日もいつも通りだなと思った。

これ、大阪城ホールの時もそうだったな。フジファブリックは、山内総一郎はその時の状況や環境をその日の音楽に巻き込むし、その状況だからこそ、その会場だからこそそういう音になったというのはもちろんあるし、それがなきゃいろんなところでライブする意味もないと思うんだけど、かといってそれを過剰な感動演出に使わない。「いつも通りの音楽」というスタイル。音楽の中に安心して入っていける。ただただ好きな音だな、声だなと思うだけ。

そのあとの奥田さんもまぁ、いつも通りゆるゆるで(マスクをして登場)
今日はお客さんは声を出してはいけなかったんだけど
「僕の弾き語りはいつもコールアンドレスポンスで盛り上がる曲ばかりやっているのに…」って言ってて笑った。
MOTHERが2020年にこんな風に響くなんて想像してなかったな。
マスクをして去っていった。

直前のラジオで山内くんが「僕が出る日、奥田民生さんとスターダストレビュー根本要さんは唯一無二の歌を歌われる方だと思うので当日楽しみにしています」って言ってたけど今日出演のみなさんステージが終わったら直行直帰で挨拶ぐらいで楽屋であまり話とかも出来なかったのかなー。

1ステージごとに転換/換気の時間があったけど普通の転換と時間はそんなに変わらない感じ。大阪城ホールは1時間に3~4回空気が入れ替わる換気システムを導入しているとの事だったけど、そういえば時々天井から冷たい風が吹き込んできたような。あれがそうなのかな?そう、大阪城ホール、動かないし人がまわりにいないからか冷房が効きすぎて寒かった。でも会場の収益とか考えなければ、両隣に誰も来ないというのはとても快適だった。

...

ライブが終わって帰り道の電車の中のふわふわした気持ち、ああ、なんかこんなだったよなぁって思い出した。私はこの時間がとても好きだった。ライブがあった日の記憶を引きずり出して思い出してはいかんともしがたい気持ちで過ごす夜が私の宝物だった。

ずっと感情が固まったみたいになってたけど、今日人間に戻った気がする。水面へ出て呼吸が出来たような。

しあわせ。

お客さん、ほんとに誰も声出さなくて拍手で気持ちを精一杯表しててすごかったなー。この2日間の観客5,000人×2日間で10,000人。このイベントから前後2週間の間に別のところで感染したとしても全部このイベントのせいにされてしまう可能性が高いんだろうなと思うとほんと大規模イベントを行うのってリスキー。それでも動き始めたいという大阪のメディア関係、音楽関係者、プロモーターの人達の本気を感じた。でも闇雲にスタートさせたわけでは決してない。あらゆる事が考えられていた。その気持ちに応えるために、今後2週間は慎重に生活したい。2週間後の無事がこのイベントの成功。出演されたミュージシャンのみなさんもどうかお元気で……!

自分はいつもこうやって、日々の生活でしんどいところをライブに溶かして流してもらって、栄養を与えられて、生きてこれたんだなーということをつくづく感じる。

動きたい。声出したい。


ライブ行きたい。

もしかしてこの思い出を胸に年を越さなければならないかもしれない。今後何かあるかもしれないけど自分が行ける状況ではないかもしれないし。(地元以外は厳しい、人数絞って開催されたとしてもチケットを取る事が難しい etc)この思い出を糧にしてこれから今年あと半分(過ぎてるけど)がんばって生きていこ・・・・

 

楽しかったな。
生の音、気持ち良かったな。


今度はいつライブに行けるかな。
フジファブリックが観られるのはいつかな。
バンドサウンドが恋しい。


2020.8.9
Osaka Music DAYS!!! THE LIVE in 大阪城ホール

山内総一郎
セットリスト

LIFE
徒然モノクローム
ブルー
光あれ
手紙


タイムテーブル

13:00- 瑛人
13:20- マカロニえんぴつ
14:15- 阿部真央
15:05- 山内総一郎フジファブリック
15:55- 奥田民生
16:55- スターダスト⭐︎レビュー
17:55- Saucy Dog
19:55- go!go!vanillas